まずはじめに、先日のブログにも追記しましたが、キヤノンのF-605GにもEL-501Jの[RCL], [STO]に相当するキーはありました。そういうわけで、メモリの性能に関してはF-605Gの方が高機能のようです。
それでもメモリはやっぱいEL-501Jの方が使いやすいと感じます。おそらく、キーの材質は配置、色使いなど、トータルの使い勝手が良く感じます。

余談ですが、この両機種を並べてみると、F-605Gの数字が大きく見えますが、実はほぼ一緒か小さいくらいです。液晶表示面は確かにF-605Gの方が大きいですが、文字の大きさはほぼ変わらないか気持ち小さいくらいです。ちなみに、縦の大きさが8 mmですね。もうすぐ発売されるEL-501Tは10 mmになるようなので、かなり大型化したように見えると思います。
電卓も文房具と同じようにちょっとした差が使用感に大きな差を与えます。
私が普段7セグメントの標準関数電卓を使うのも表示が見やすいからです。下の画像でそれが良くわかると思います。

左:7セグメント表示、右:ドットマトリックス表示
ドットマトリックスはアルファベットだけでなく、ひらがなや漢字なども表示できるなど、表現力には優れますが、7セグメント表示に比べると視認性が大きく劣ります。
ちょっと複雑な公式を使った計算を行う場合には、式が表示された方が見やすいですし、履歴が残る高機能な関数電卓の方が何かと便利です。
しかしながら、数値計算を1回実行するだけなら標準関数電卓で十分です。慣れてくるとある程度複雑な式でも打てるようになります。
さて、ここからが本題です。
関数電卓ではデカルト座標を極座標にしたり、極座標をデカルト座標にしたりできます。
デカルト座標では点の位置をx座標の位置とy座標の位置の組み合わせ(x, y)で表現します。
極座標ではそれを線分の長さとそれがx軸と成す角度(r, θ)で表現します。

デカルト座標と極座標
関数電卓ではこれを簡単に相互変換することができます。
その時に使うのがEL-501Jの場合、[a], [b]キーです。

例えば、デカルト座標(√3, 1)を極座標に直す場合には以下のようにキー操作します。
キー操作1:[3] [√] [a] [1] [b] [→rθ](実際のキー操作は[2ndF] [a])
はじめのうちは数字を打ち込んだ後に、[a]を押したりするのにちょっと不慣れな感じがするかもしれません。しかも、EL-501Jは[a]ボタンを押しても、画面表示に変化がないので、手応えがないかもしれません。
キー操作1を行うと次のように表示されます。
表示1:2
この状態で[b]を押してみます。
キー操作2:[b]
表示2:30
これは極座標(2, 30°)に相当するということを意味します。
この状態で[a]を押せばrが、[b]を押せばθが、何度でも表示されます。

いわゆる、1:2:√3の直角三角形ですね。
ではこの三角形を使って、極座標をデカルト座標に変換してみます。
この場合、[ON/C]は押す必要はないですが、念のために[ON/C]を押しても問題はないです。
キー操作3:[2] [a] [30] [b] [→xy](実際のキー操作は[2ndF] [b])
表示3:1.732050808
表示3は√3の少数表示で、これがx軸の値です。
キー操作4:[b]
表示4:1
表示4はy軸の値です。
ちゃんと変換できていることがわかります。続いて、試しにこの状態で[a]を押してみましょう。
キー操作5:[a]
表示5:1.732050808
ちゃんと√3が表示されていることが確認できました。このように変換後は[a], [b]を押すごとに結果を返してくれます。
このように非常に簡単に座標変換ができますが、問題はキー操作が覚えにくいことではないでしょうか。
しかしながら、EL-501Jの表示は非常に秀逸なんです。もう一度、この画像を見てください。

[→rθ]、[→xy]とありますが、これはそのままキーの入力順番と考えてください。[→rθ]これは極座標を入力するときはrがaでθがbであることを示していると考えます。つまり、rθ、xyの順番がabに対応していると見ます。デカルト座標も同様にxが先でyが後です。
一番上の写真を見るとわかるのですが、F-605Gにも[a], [b]キーがありますが、R→P、P→Rとあるだけで、わかりにくいです。polarとrectangularでしょうか。どちらも3文字ですが、表現力に大きな差があります。
関数電卓には省略の美学があります。どの機能を搭載し、キーをどのように配置するか、表示をどうするかは重要度が高いと思います。
a、bを入力した状態では、関数電卓はそれがデカルト座標なのか極座標なのかはわかっていません。[→rθ]が押されれば、a、bに格納されている数値はデカルト座標だとして変換しますし、[→xy]が押されれば、a、bに格納されている数値は極座標だとして変換するだけです。