久々に本ネタ。
この本はブルーオーシャン戦略の論理を明快に説明しており、また、行動に役立つ体形的なツールやフレームワークを紹介している。
既知の市場空間では、各社ともライバルをしのいで、限られたパイのうちできるだけ多くを奪い取ろうとする。競争相手が増えるにつれて、利益や成長の見通しは厳しくなっていく。製品のコモディティ化が進み、価格競争が激しさを極め、利益率が縮小が加速する。企業はコストと品質のどちらかを二者択一しなくてはいけない。これが「赤い海(レッドオーシャン)」と呼ばれる市場だ。
ブルーオーシャン戦略では「競争よりも新規市場の創出を重視して、競争を無意味にしよう」とする。敵のいない新たなる青い海を泳ごうというわけだ。
本書でも取り上げている「ビジョナリー・カンパニー」は長期にわたって実績を上げ続ける事業慣行について研究した。しかし、そこで高評価だった企業のうちの何社かは、すでに問題点が明らかになったとしている。例えば、ヒューレットパッカード(HP)は代表的なビジョナリー・カンパニーとして紹介されているが、HPが市場を席巻しているとき、コンピューター・ハードウェア業界全体も同じく好調だった。しかも、HPは必ずしも競合他社よりも高い業績を上げたわけではなかったようだ。
「ビジョナリー・カンパニー」は1巻から4巻まであり、すべて読んだ。上のように否定的な意見もあるが、このブルーオーシャン戦略自体も盤石な論理ではない可能性はある。おそらくこの手の本ははるか遠くの未来を予想することはできない。現状を分析し、その共通点をあぶり出し、ほんのちょっと先の未来を先取りしようという程度のものなのかもしれない。しかし、重要なのは現状をよく分析した人がいったいそこから「何を読み取ったのか」ということだと思う。少なくとも不勉強な自分よりも多くのことを知り、考え、まとめたはずだ。盤石な論理などないが、現実のある側面を反映した知見であることは間違いないだろう。それを参考に、自分なりの考えを巡らせることは決して無駄ではないと考える。
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